普段あまり意識することはないかもしれませんが、クレジットカードで支払いをする時、手数料を店側がクレジットカード会社に払っています。でも「なんで消費者側はポイントがたまるのに、店側はお金を支払わなければならないんだろう?」と疑問に思ったことはありませんか?今回はクレジットカードの手数料の仕組みのすべてを解説し、もしものときのために備えた対処法も紹介します。
クレジットカードの手数料とは、カードを利用した時にクレジットカード会社に支払う手数料のことで、大きく分けて次の2つがあります。
消費者が払う手数料は、主に分割払いやリボ払いにした時にのみ発生します。まれに加盟店側から手数料を請求されることがありますが、基本的に一括払い、もしくは2回払いまでの手数料はかかりません。
加盟店が支払う手数料は、その店で買い物をした時の何%かを手数料として支払います。
クレジットカード会社は、消費者側、加盟店側双方に大きな利益があるので、その利益の対価として手数料を徴収しています。しかし、「基本的に手数料をとるのは加盟店である」というのには、加盟店にとってそれだけの価値があるからです。
加盟店には、少なくとも次の5つのメリットがあります。
これは最も大きな理由のひとつです。クレジットカードを使用できれば、お客が現金を持ち合わせていない、あるいは少なくても高額な商品を買うことができます。また、ガソリンスタンドなどでは、現金では2,000円とか3,000円のような切りのいい数字で支払いをする傾向がありますが、カードなら満タンに入れてくれますので、結果手数料分より多くのお金を回収できます。
クレジットカード加盟店しか利用しないという顧客も少なからずいます。クレジットカードが利用できないということがわかると、何も買わずに帰ってしまうなら、やはり手数料を払ってでも顧客を獲得しておきたいところです。
現金での支払いは、多くもらいすぎても少なくもらったとしても店にとっては問題です。現金の支払いミスは、店の信用を失いますし、たとえ少額であったとしても、売り上げのミスが起これば何度も売り上げを計算し直さなければなりません。クレジット払いが50%なら、単純に支払いミスが50%減るという計算になります。
クレジット払いにすれば、物理的に金銭のやり取りが減りますのでお店に保管する現金が減ります。現金が減れば強盗などに奪われるリスクが減ります。
これは特に個人で経営している小さな店でいえることですが、クレジットカード加盟店であればそれだけで「個人経営感」がなくなり、安心して利用できるようになります。
これだけのメリットがあるので、お店は多少の手数料がかかっても、クレジットカード加盟店になりたいと思うのも納得できますね。
一方、クレジットカード会社の観点からみますと、月々の支払いを滞納するという人がいるリスクに加えて、紛失保険、盗難保険、海外保険など様々なサービスを無料で提供います。さらに多くのカードは年会費が無料どころか数千円分のポイントを無料で提供しています。そんな中、クレジットカード会社の利益となるのが、「手数料」ということです。
通常加盟店が支払う手数料は消費者に知らされていませんが、実は業種によって大まかな支払い率が変わります。例えば、以下の業種と手数料を見てください。
業種 |
手数料 |
---|---|
水商売 |
8~10% |
飲食店 |
4~7% |
小売店、専門店 |
3~5% |
デパート |
2~3% |
家電量販店、コンビニエンスストア |
1~1.5% |
これらは固定制ではなく、交渉によって手数料が変わります。なので、個人で経営している方は「クレジット払いが増えてきたから、手数料を下げてくれ」というような交渉も可能です。
クレジットカードを使う消費者の手数料は、分割払いやリボ払いにしない限り無料です。
クレジットカードの手数料を、消費者側に請求する業者もいますが、それは契約違反です。この事実がクレジットカード会社側に知られると、クレジットカード加盟店から除外される可能性があります。
もし消費者側が、「カード払いで手数料を取られるなら現金払いにしよう」ということになったら、損するのは、クレジットカード会社です。なのでクレジットカード会社は、消費者にメリット(ポイントをつける等)を与えてカード払いを促進させ、加盟店には手数料を与えて利益を得ます。
店側はクレジットカード加盟店になることによってすでに十分の利益を得ているはずですので、基本的に手数料をお客さんから徴収するべきではありません。
あなたがもし消費者側であるなら、カード払いの手数料を請求された時にははっきりと断り、場合によってはクレジットカード会社に相談するという旨を伝えてみてください。
クレジットカードにかかる手数料は、消費税対象になる場合と非課税になる場合がありますので注意が必要です。
国税庁によりますと、クレジットカード加盟店は、信販会社(クレジットカード会社)によって差し引かれる場合、手数料は「債権譲渡」となり非課税となります。
クレジットカード加盟店が、代理店(決済代行会社)と契約してクレジットカード決済を導入している場合は、クレジットカード手数料が「債権譲渡」ではなく、「システム利用料」となるので、課税対象になります。
海外でのクレジットカードの手数料を考慮する時、「クレジットカードにかかる為替手数料」と、「各ブランドが定める為替レート」が関係してきます。
海外では一括払いにしても為替手数料が発生しますが、これは消費者側が負担しなければならない手数料です。一例として、各国際ブランドの為替手数料を確認してみましょう。
国際ブランド |
為替手数料 |
---|---|
ダイナースクラブ |
1.30% |
JCB |
1.60% |
VISA |
1.63% |
Master Card |
1.63% |
アメリカンエキスプレス(以下アメックス) |
2.00% |
このように、海外で買い物をする場合、少額の手数料を請求されますが、それでも海外で買い物する場合、クレジットカード払いが一番安くすみます。なぜならクレジットカードのポイント還元があるので、実質の為替手数料は1%前後ということになるからです。
一方空港や銀行で両替する場合通過によって違いはありますが、手数料は3~5%ほどかかってしまいます。なので海外旅行や出張に行くなら、現地の通過に変えるお金は最小限に抑えて、出来るところは全てクレジットカードで支払った方が良いでしょう。
為替レートは手数料ではありませんが、国際ブランドによってレートが変わりますので注意が必要です。基本的には銀行間の取引レート(TTM)と大きく変わりはありませんが、次のようにMasterCardが最も安く、ダイナースクラブが最も高いと言われています。
Master Card<VISA<JCB<アメックス<ダイナースクラブ |
MasterCard、VISA、JCBは公式ホームページで為替レートを公開しています。日によって為替レートは変わりますので気になる方は、クレジットカードを使用する前にチェックしてみてください。
クレジットカードの手数料は、十分に利益を得ている店側が払うものであって、消費者側が払うものではありません。海外での支払いの場合、消費者側にも手数料がかかりますが、それでも銀行や空港で両替するよりもかなり安くすみます。クレジットカードは、お金を支払う側である消費者にお得になるというシステムになっていますので、国内でも海外でも出来るだけ支払いはカード払いにしておきましょう。